PC記事上

【桐生祥秀 ❝黄色人種史上最速❞】

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
プロフィール

氏名:桐生祥秀

生年月日:1995年12月15日

出身地:滋賀県彦根市

所属:
彦根市立南中学校
洛南高校
東洋大学法学部

身長:176cm
体重:70kg

自己記録

60m   6秒56
100m 9秒98(日本記録)
200m 20秒41

主な戦績
2010年 全日本中学校陸上競技選手権大会 200m2位
2011年 国民体育大会少年B100m優勝
日本ユース陸上競技選手権大会100m3位
2012年 全国高校総体陸上100m4位 200m7位 1600mリレー3位
国民体育大会少年A100m優勝
日本ユース選手権大会100m・200m優勝
2013年 織田記念陸上100m優勝
日本陸上競技選手権大会100m2位
全国高校総体陸上100m・200m・400mリレー優勝
モスクワ世界選手権100m予選敗退
国民体育大会少年A100m優勝
日本ジュニア選手権大会200m優勝
2014年 関東学生陸上競技対校選手権大会100m優勝
日本陸上競技選手権大会100m優勝
日本学生陸上競技対校選手権大会200m優勝
2015年 テキサスリレー100m優勝
日本学生陸上競技対校選手権大会100m優勝
2016年 関東学生陸上競技対校選手権大会100m優勝
日本陸上競技選手権大会100m3位
リオデジャネイロオリンピック100m予選敗退
2017年 日本陸上競技選手権大会100m4位

100mランナーとしては歴代最高クラスの資質を誇り、高校三年時に日本歴代二位となる10.01を叩き出し日本中を震撼させ、さらに2017年日本人初となる9秒台をマークした桐生祥秀選手です。

小学生時代はサッカー少年で、意外にもポジションはゴールキーパー。彦根市の代表チームにも選抜されています。そんな桐生選手が陸上競技を始めたのは中学校に進学後。
抜群の才能は早くから開花され、二年時には100m11.2台で走り、三年時の自己ベストは100m10.87、200m21.61です。特に200mは非常にレベルが高い記録ですが、同学年には超中学生級の日吉克実選手(200m中学記録保持者)がおり、全日中は惜しくも二位となっています。

高校は実家から遠く離れた、陸上競技の超名門である京都・洛南高校に進学。高校一年時から順調に記録を伸ばし、秋の国体少年B100mでは見事優勝を果たします。これが桐生選手の全国初タイトルです。

そして高校二年生に進級。2012年、彼にとっては飛躍の一年となりました。
4月には早くも200m20秒88をマーク、さらに5月は100mで10.27を叩き出します。これは高二歴代最高記録でした。
その後夏のインターハイでも優勝候補に挙げられていましたが、体調を崩していたため無冠に終わります。私も100m決勝は会場で観戦していましたが、随分特徴的な走り方だな…。という感想でした。今より上体が直立しており、体を大きく捻って力を生み出す。大きなエネルギーを生み出す反面、まだ少し力が分散している印象でした。

シーズン後半では復調し、200mの自己記録を20.71まで伸ばします。そして10月の岐阜国体。100m少年Aを制し、さらに10.21の高校記録を叩き出しました。これはかなりハイレベルな記録です。さらに約一か月後、エコパトラックゲームズ100mでさらに記録を伸ばし、10.19をマーク。ついに高校記録が10.1台となりました。

年が明け、2013年。彼の人生、そして日本短距離界の歴史が大きく動いた一年です。
4月に行われた織田記念陸上。会場である広島ビッグアーチは国内屈指の高速トラックとして知られ、当時のトラックの反発力や風向き・強さの全てが最高の状態でした。
この織田記念、大会前最も注目されていたのは山縣亮太選手です。前年のロンドンオリンピックで見事な走りを披露し、速さ・強さを兼ねた日本のエースでした。しかし、幕を開けてみると…。

100m予選、まず一組目に山縣選手が出場しました。追い風0.1mの条件下、10.17。まずまずの記録で、決勝が楽しみです。観客の注意が早くも決勝に移ろうとしていた矢先の出来事でした。予選三組。
飯塚翔太選手、高瀬慧選手ら実力者が揃う中、高校記録保持者桐生選手がどこまで通用するのか…。という様相でしたが、結果はドラマより衝撃的でした。
スタートから桐生選手の独壇場で、周囲との差は拡がるばかり。トルソーを突き出すと、速報掲示板が表示した記録はなんと10.01!!少し信じがたい結果でした。
そして決勝。日本のエース山縣選手との一騎打ちです。現在ではスタートの達人となった山縣選手ですが、このレースではスタートから桐生選手が先行します。中盤、桐生選手がまだリードしていますが、少し力みが見られ、徐々に両者の差は埋まり始めます。終盤は桐生選手のフォームはバラバラになりましたが、それでも逆転には至らず、そのままフィニッシュ。結果は追い風2.7mの条件下で桐生選手10.03、山縣選手10.04でした。

一躍日本中の注目を集めた時の人になりましたが、その後の日本選手権では山縣選手に敗北。インターハイは100m・200m・4×100mリレーの三冠を達成しますが、モスクワ世界選手権は予選で敗退となりました。

2014年、かつての名スプリンター土江寛裕氏の勧誘を受け、桐生選手は東洋大学に進学します。ナショナルトレーニングセンターの近くという地理的な理由も決定要因だったようです。
5月の関東インカレでは10.05をマークし、自己記録がフロックではない事を証明しました。
そして6月の日本選手権では、見事100m初優勝を果たします。

そして同年、最大の大会である世界ジュニア選手権を迎えます。9.97の記録を持つトレイボン・ブロメル選手との一騎打ち、と思われましたが…。
桐生選手は、準決勝で非常に固い走りをしてしまい、まさか四着。伊東浩司氏がTwitterで「桐生、どうした・・・」とコメントしていたのが印象的でした。
しかしなんとかタイムで拾われ、決勝に進出。
決勝もややスタートで浮いてしまいましたが、その後は準決勝よりも良い走りを見せ、見事三着に。この種目で日本人初のメダルを獲得しました。ちなみにブロメル選手もスタートでバランスを崩してしまい、銀メダルに終わります。金メダルを獲得したのは第三の男ケンドル・ウィリアムズ選手でした。

2015年、三月に行われたテキサスリレー100mにて追い風3.3mの参考記録ながら9.87をマークします。これまで追い風参考とはいえ日本人が9秒台をマークしたのは初めてで、さらに8台というまさにワールドクラスの数字に、世間の期待が再燃しました。この頃から、<もしも追い風2.0換算なら…。>といった議論が増えた印象です。
さて、それから約一か月。国内での初試合を迎えます。毎年好記録が続出する織田記念陸上という事もあり、記録への期待は高まりました。世間の注目はもはや勝敗ではなく、日本記録の更新・公認9秒台でしたが・・・。決勝ではスタートから非常に固い走りでケンブリッジ飛鳥選手に敗北、さらに塚原選手とも同着の二位に終わりました。たしかにこの時のケンブリッジ選手は速かったですが、まだ当時の実力は二段階程差があったと思います。プレッシャーがかかるレースにおける決定的な勝負弱さを、再度露呈してしまいました。
その後はワールドリレーにて銅メダルを獲得しましたが、関東インカレでハムストリングスの肉離れを受傷。日本選手権・世界選手権は出場できずにシーズンを終えました。

2016年。春先からライバルである山縣亮太選手の調子が良く、またケンブリッジ選手も代表レベルの力を身に着けてきました。桐生選手も6月の日本学生個人選手権にて自己タイとなる10.01をマーク。絶好調の三人が、満を持して日本選手権を迎えました。
予選・準決勝共に三人いずれも順当に勝ち上がり、迎えた決勝。抜群のスタートを見せた山縣選手ですが、珍しく終盤固くなってしまい、猛追したケンブリッジ選手がわずかにかわし、優勝。桐生選手は加速局面からうまく走れず、二人から少し差がついてフィニッシュ。またも実力を発揮できずに終わってしまい、レース後のインタビューでは号泣していました。

迎えたリオデジャネイロオリンピック。100mに参加しましたが、モスクワ世界選手権に続き予選で敗退してしまいます。しかし続く4×100mリレーでは三走を務め、見事銀メダルを獲得。日本でも大反響を呼び、リレーメンバー達は一躍時の人となりました。しかし、やはり桐生選手の中では個人種目予選敗退した悔しさのほうが大きかったようです。これは競技経験者にしか分からない事ですが…、リレーで金メダルを獲得するよりも個人種目決勝に進出する方がはるかに優先度が高いのではないでしょうか?

2017年は春先から10.0台を連発し、絶好調。しかし日本選手権では力を発揮できず4位に終わり、世界選手権はまさかの個人種目代表落選。リレー要因としてのみ代表に選ばれました。
ロンドン世界選手権では、4×100mリレー三走を務め、見事に銅メダルを獲得しています。

ロンドン世界選手権を終え、9月の日本インカレを迎えます。桐生選手にとっては東洋大学のユニフォームを着て走る最後の大会で、大学生活集大成とも呼べる舞台です。
サニブラウン選手が急成長している中、もしかしたら日本人初9秒台を出すチャンスはこれが最後だったかもしれません。しかも強敵多田修平選手との直接対決でもあり、桐生選手にとってはプレッシャーの大きい大会でした。
そんな中、100m決勝では多田選手を下し9.98をマーク!悲願の日本記録樹立を成し遂げました


 
桐生選手の正面から見たランニングフォームです。
印象ですが、上下肢の連動がうまく、さらに筋力も強いため生み出す力は非常に強い。その上強固なバネ(関節の剛性力)を持っているため、接地時のロスも極めて少ない。100mランナーとしての肉体的資質は完璧に近いと思われます。

日本記録保持者の伊東浩司氏とは一見似つかぬフォームですが、「骨盤の切り返しの速さ」という一点においては共通しています。この動作には外腹斜筋の機能が最重要と考えられます。


現在までに、世界の舞台ではいずれも力を発揮できずにいる桐生選手。しかし、ランナーとしての資質はワールドクラスです。
日本インカレではライバル多田修平選手を下し、9秒台を達成。弱点である勝負弱さを払拭する、見事な走りを見せてくれました。
やはり東京五輪の主役候補筆頭は、桐生選手でしょう!

フォローする

スポンサーリンク