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タイソン・ゲイ|経歴と走り方(ランニングフォーム)の紹介

プロフィール

氏名:タイソン ゲイ(Tyson Gay)

生年月日:1982年8月9日

出身地:アメリカ ケンタッキー州レキシントン

所属:
ラファイエット高校
バートン・コミュニティ大学
アーカンソー大学
アディダス(プロ契約)

身長:183cm
体重:73kg

自己記録

100m 9秒69
200m 19秒58

主な戦績
2005年 ヘルシンキ世界選手権200m4位
2007年 大阪世界選手権100m・200m・4×100mリレー優勝
2008年 北京オリンピック100m準決勝敗退
2009年 ベルリン世界選手権100m2位
2012年 ロンドンオリンピック100m4位・4×100mリレー2位(後にドーピング発覚により失格)
2015年 北京世界選手権100m6位
2016年 リオジャネイロオリンピック4×100mリレー決勝失格

アメリカ史上最強のスプリンター。大阪世界選手権で見事な活躍を見せたため、日本での知名度も非常に高い選手です。闘争心剥き出しの走りで、あのウサイン・ボルト選手が最も警戒し、「ライバル」と認めていた存在であり、私が最も憧れていた選手でもあります。

ゲイ選手が本格的に陸上競技を始めたのは高校入学後。当時からスタートを苦手としていましたが、猛練習により徐々に競技力は高まっていきます。高校三年時の彼の自己ベストは100m10.46、200m21.23で、ケンタッキー州レベルの大会では好成績を残しています。

ゲイ選手の才能を高く評価していたランス・ブラウマンコーチにスカウトされ、バートン・コミュニティ大学に進学します。そこで彼は、後にアテネと北京オリンピック200mで金メダルを獲得する事になるベロニカ・キャンベル選手とも出会い、共に練習を積みます。
大学進学後は才能が大きく開花し、2002年には追い風参考ながら100m10.01の記録を出します。
2003年は怪我の影響で休養期間となります。この時にブラウマンコーチがアーカンソー大学に移ってしまい、そしてゲイ選手も後を追い編入します。この大学ではウォーレス・スピア―モン選手とチームメイトになりました。
2004年は五輪選考会に100m・200mに出場します。どちらも決勝進出には至らず、また200mレースにてハムストリングス肉離れを受傷。残念な結果に終わりましたが、この経験から彼は体をケアする重要さに気付きます。

2005年は更なる成長を遂げ、春先の室内60mで6.55をマーク。NCAAでは200mで3位に入賞し、自己ベストも19.93まで伸ばします。世界レベルの実力を手にしたことで、彼はこの大会後にプロに転向します。
そして迎えた全米選手権で200m2位に入賞し、見事ヘルシンキ世界選手権代表となります。
ヘルシンキ世界選手権では、アメリカ勢は200mに四人エントリー(前回大会ジョン・カぺルがシード参加)しました。決勝でも上位1~4位までをアメリカが独占し、スプリント大国の存在を誇示しました。しかし、ゲイ選手は4位。ただ一人メダルを獲得できず、笑顔はありませんでした。

2006年は飛躍の年になります。100m9.84。200m19.67まで自己ベストを更新。春先にジャスティン・ガトリンがドーピング違反により永久追放(後に4年間の出場停止に減刑)され、陸上界に白けた雰囲気が漂っている中、新たなエース候補に名乗りを上げました。同年は海外のグランプリレースでも好戦績を残しています。

そして2007年。彼に栄光が訪れた年です。
ブラウマンコーチが横領罪のため10ヶ月の服役となってしまい、、彼は新たな指導者に師事します。ジョン・ドラモンド。かつての名スプリンターであり、スタートの鬼と評された選手です(リアクションタイムはあの山縣亮太選手と同レベル)。世間的には2003年パリ世界選手権でのフライング事件の印象が強いですかね…。
ゲイ選手は自身の弱点であるスタートの改善を試み、打倒アサファ・パウエルに挑みます。
シーズン序盤から絶好の仕上がりを見せ、追い風2.2mで9.76をマーク。その後の全米選手権では100m9.84、200m19.62を叩き出し、両種目で圧勝します。

飛ぶ鳥を落とす勢いで臨んだ大阪世界選手権。
100mはスタートで先行するパウエル選手を中盤で捉え、逆転。初めてパウエル選手を下したと同時に、悲願の世界タイトル獲得です!200mではウサイン・ボルト選手との一騎打ちになりましたが、直線でリードし19.76の大会記録で優勝。4×100mも圧勝し、見事モーリス・グリーン選手以来の三冠を達成します。

最高の形で大阪世界選手権を終えたゲイ選手。ジャスティン・ガトリンのドーピング事件により失墜した陸上界を救う、ニューヒーローの誕生と思われました。しかし…。
この時、いったい誰が予想できたでしょうか?ゲイ選手が二度と世界タイトルを獲得する事が無いなどとは…。

2008年は波乱の幕開けとなりました。
春先にウサイン・ボルト選手が100mで9.76(当時世界歴代二位)を叩き出したのです。神童と呼ばれていたボルト選手が、遂にその潜在能力を開花させました。そして迎えたリーボックグランプリ。ボルト選手との直接対決です。
レースは雨の中行われ、異様な緊張感に包まれていました。大熱狂の中号砲が打ち鳴らされ、ボルト選手が前半から先行します。ゲイ選手も見事な走りを見せ9.85をマークしますが、その全てをボルト選手が上回り、9.72の世界記録(当時)を叩き出したのです。
レース後握手を交わす両雄。しかしゲイ選手の表情は凍りついていました。このレースを最後に、二人の会話が交わされる事はなかったといいます。
その後全米選手権予選で9.77(+1.6)をマーク。決勝は9.68(+4.1)を叩き出し、打倒ボルトをアピールします。しかし200m予選でハムストリングス肉離れを発症させ、途中棄権。北京オリンピックに100mで出場しますが、怪我の影響もあり準決勝敗退に終わります。

二年間で天国と地獄を味わったゲイ選手。2009年、人生を懸けた雪辱戦に挑みます。春先に200mで19.58の自己ベストをマーク。しかし、ベルリン世界選手権は100mのみの参加に決めました。
「ボルトに勝てるとすれば、100mだ。自分は世界記録を更新できる」と当時語っており、彼の覚悟がうかがえます。
迎えたベルリン世界選手権100m。予選から絶好調のボルト選手。仕上がりの良さは北京五輪と遜色なく、準決勝は流して9.8台。かたやゲイ選手は、力を温存したままラウンドを重ねます。
そして決勝、伝説のレースです。スタートからボルト選手が先行しますが、ゲイ選手も追いかけます。しかしスタートでの差が勝敗を分け、ボルト選手が先着。9.58の世界記録を叩き出したのです。ゲイ選手も9.71の大記録をマークしますが、彼の表情に笑顔はありません。レース後は非常に取り乱していたとの話もあります。

その後、ベルリン世界選手権後に行われた上海ゴールデングランプリで100m9.69(世界歴代二位)をマーク。しかしその後股関節痛が悪化し、長く第一線から離れることになります。

2012年はロンドンオリンピックに出場。トップクラスの力を見せつけましたが、それでも全盛期には及ばない状態で、惜しくも4位入賞に終わります。ちなみにこの時はウサイン・ボルトvsヨハン・ブレイクの図式でしたが、ボルト選手はゲイ選手の事を最も警戒していたようです。

2013年は、春先から絶好調。ガトリン選手に連勝し、100m9.75をマーク。今度こそボルト選手に雪辱を果たす時が来たと思われましたが・・・。
7月14日。まさかのドーピング検査陽性反応を示したため、モスクワ世界選手権出場の道は断たれました。前年のロンドンオリンピック4×100mリレー銀メダルも剥奪。一年間の出場停止処分を受けます。
2015年は競技会に復帰しますが、ヨーロッパの大会では選手紹介時にブーイングも起こるようになりました。実力は全盛期には程遠く、北京世界選手権でも100m6位に終わります。
2016年リオデジャネイロオリンピックでは4×100mリレーのみ参加。銅メダルを獲得したと思われましたが、後にテイクオーバーゾーンにおけるミスが発覚し、失格になります。

失意の結果に終わろうとした2016年。彼にとって更なる絶望が待ち受けていました。
娘のトリニティさんが銃撃戦に巻き込まれ、死亡したのです。トリニティさんも短距離選手として活躍しており、まだ15歳だったのですが…。

2017年も競技を継続していますが、全米選手権では予選落ちに終わっています。しかし、追い風2.2mで9秒94をマークしているなど、まだ完全に力を失ったわけではありません。



タイソン・ゲイ選手のランニングフォームです。
脊柱の使い方が柔らかく、また四肢を大きく動かすいわゆる「教科書的な走り」の一つの完成形です。体型も競技に特化しており、非常に発達した大殿筋とハムストリングスから大きな力を生み出し、細く長い脚を鞭のように振り下ろし大きなパワーを地面に伝えています。接地時間が短く、まるで宙に浮いているような錯覚さえ感じられます。
天性の走りを持つボルト選手やブレイク選手と対照的で、練習によって積み上げた努力の結晶とも呼べる技術です。


今後はボブスレーでの冬季オリンピック出場を目指しているようです。しかし、2017年は陸上競技の大会にも参加しています。
歴代でも三本の指に入る競技力を誇りながら、五輪のメダル獲得すらなく競技生活を終えようとしているゲイ選手。ボルト選手のブレイク後は、まるで闇の中を彷徨うような競技生活を送りましたが、また輝きを取り戻す姿を見せてくれるはず。信じています。

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